長距離ドライブ 「ベロリゾンチ(往復1200km)へ車で行く」
Dirigir um longa distância para o Belo Horizonte






さて、夜中の3時。布団や毛布をしっかり積み込み、後ろ半分が子ども達のベッドルームと化した車で、サンパウロの自宅駐車場から出発します!

  • とりあえずのナビ設定画面。目的地まで591km。6時間33分かかるとな。 日本でいえば東京から、神戸・姫路を超えて岡山の手前まであたりでしょうか?多分高速を使っても6時間半では着きません。

  • さて、出発!昼間も危険なブラジル国内の道路ですが、夜間も当然危険です。市街地の信号は基本的に無視して進みます。それは「信号待ちのとき襲われてしまうから 」警察も、法律も、深夜・夜間は信号無視OKと認めています。まぁ、高速道路に入ればその心配も少なくなります。
  • サンパウロから、ベロまでの道はブラジル国道381号線、通称フェルナン・ジアス(BR-381 Rodovia Fernão Dias)を真っすぐ行くだけ。地図でいえば真っすぐ北上するだけ。高速道路の部分もありますが、ブラジルの高速道路は区間ごとに経営母体が異なっていて、同じBR-381号線であっても、急に一般道になることもあり、少々戸惑います。
  • さて、7時ころ。子どもも起きたので朝食休憩です。

    気がつくと自宅を出て373km走った地点でした。
  • ブラジルの高速道路にも日本と同じようにPA、SAのようなものもあります。公的に設置してあるものでなく、それぞれの企業がそれぞれ作っている感じですが。

    たくさんの食事が用意されているのも一緒。「電子レンジで温めてね」と書かれたパン類。
  • お好きなものを選んで、最後に会計する方式です。
  • 飲み物もそれなりに充実。
  • 会計は、この磁気カードに記録して、最後にまとめて会計します。

  • そうそうガソリンもガンガン減るので気がついた時に入れておきます。
  • またまた走ります。ナビが2つあるのは・・・最近知人からナビをもらったのでその性能を確かめてみたかっただけです。

    ミナス・ジェライス、という名前はおそらく「鉱物資源が普通に出てくる」、という意味だと思います。ミナスは英語でいうmineつまり、鉱山・鉱物、ジェライスは英語のGeneral 当たり前・一般的、という感じでしょうか?。つまり「鉱山が普通にある」「その辺から鉱物資源が出てくる」というニュアンスをもつ地名だと思います。 ちなみにブラジルは鉱物資源の宝庫ですが、そのほとんどはこの州から産出されているとのこと。ということでBR-381沿いにも平掘りの鉱山が出てきます。
  • 路面がなんとなく茶色いのは、鉄鉱石?の鉱山からのトラックが常時行きかう場所だから。
  • ベロリゾンチ市内のバスです。・・・というわけで、無事600km走り、お昼頃にはベロリゾンチに着きました。
  • 試合は夕方なのですが、その前にチケットを受け取らなくてはななりません。ネットではあくまでも「予約引換券」しか受け取れないからです。最終メールによると「ショッピングセンターに来い」 というので、その「Boulevard shoppinng」を探しました。
  • さて、そこに到着したら・・・・。すでにスゴイ人です。確かに何万人もみにいくんだもんな・・。
  • おお、FIFAの文字が。
  • こんな感じで、駐車場内の臨時カウンターに並びました。
  • ここでようやくチケットを手に入れます。
  • メールの印刷物を提示、念願のチケットをもらいました。
  • おお、これがチケットです。安い席ですが1万円以上しました。
  • さて、市内に移動し、スタジアム付近のホテルにチェックインして、車と荷物を置いていざスタジアムへ。 でも、入口近くに装甲車がたくさんいるのはなんでだろう??
  • すでにみんなノリノリです。ちなみに日本代表のユニフォームはこの日のために日本から取り寄せました。ものすごく時間と費用がかかりましたが・・・。

  • 歩くたびに「おお、日本人だ。写真撮ろうぜ!」とすごく多くの人から言われました。 今回は日本-メキシコ戦でしたが、日本人とメキシコ人よりも様々な国の人がたくさん来ていたように思います。
  • さあ、いよいよスタジアムへ!
  • おおおお、テレビで見ているような本物のスタジアムです!!
  • いよいよ試合です。本物の前哨戦ですので、メンバーも当然本物A代表です!!あの、ニュースやメディアでしか見たことがない憧れのあのひとが・・・。
  • 目の前にいる!!!!
  • スーパーテクニックをたくさん見せてくれました!
  • やはりTVで見るのと、生で見るのでは全く違います。
  • 試合は惜しくも0-3で敗れてしまいましたが、日本代表の凄さを感じた至福の時間でした。
  • カメラ好きの自分はこんな風景も気になります。

    近くの席の人と、(手作りの)日の丸を手に。
  • メキシコ人、いい人ばかりです。特に子どもたちは大人気。非常にたくさんの人に写真を一緒に撮ってもらいました。

    さて、念願だったサッカー観戦も終了し、あとは近所のホテルに泊まって明日はゆっくり帰るだけ・・・というところなのですが、大事件が起きていました。 実はブラジルワールドカップに向け、政治家が随所に私腹を肥やしていることが発覚し政治腐敗に対して大規模なデモが国内で頻発しているのです。しかもその開催地でデモをするのが流行してしまったので、ななんと、自分たちはこの時、反政府デモに巻き込まれてしまったのです。「だからスタジアム前に装甲車があったんだ」 と分かっても後の祭り。デモ参加者は優しい方がほとんどでしたが、 やはり一部 暴徒化した人もいたみたいで、大きな爆発音や、光や煙が上がっていました。一番驚いたのが”催涙ガス”まで漂ってきたことです。 宿に近づくと、だれかが大量に花火をやった時のように何やら煙っぽく、「爆竹みたいなものを大量にやったのかな?」と思いましたが、それを吸い込むと、何やら呼吸が変になり、目にも痛みを感じ、涙が出てきました。「あれ?オレなんか変かな?」と思いましたが、家族全員同じ症状だったので「これはこの煙が原因だ!」と気付き、初めて「そっか、これがあの有名な催涙ガスだ」となりました。うわさには聞いていましたが、さすがに本物を体験したのは初めてした。
  •  そんなこんなでホテルまでなんとかたどり着きました。さすがに室内まで催涙ガスは来ませんでしたが、 夕食に出られる状況でもなく、 フロントに相談してなんとか出前を頼んで夕食としました。・・・デモの中、出前に来てくれたピザ屋さんにはたくさんチップをお渡ししました・・・。
  • さて、翌日です。中級ホテルでしたので、朝のパンでもこの程度の種類はありました。
  • アパートのようにも見えますが、これが今回宿泊したホテルの外観です。朝になって外を見ると昨晩の騒動が夢のようです。
  • そうそうブラジルのホテルはこうやって簡単なキッチンがついていることが多いです。
  • チェックアウト時、青い空に静かな住宅街の風景に「昨日のことは夢だったようだね」 と語った数分後、ホテルの裏手にある大通りに出てみて唖然としました。この自動車販売店、デモ隊によって破壊されていました。全てのガラスは割られ、内部に車はありませんでした。

    昨日、この道を通ったことは間違いないので、こんな姿ではなかったことは確かです。催涙ガスと爆発音は確かに自分たちのすぐ裏手の攻防のものだったようです。
  • それにしても・・・。ブラジルに住み始めて3年目。こうした状況は初めてだったので大きなショックでした。

    スタジアムまでの道。昨日はコンフェデの大きな旗が全て飾られていたのですが、ビリビリに破かれています。
  • これが試合の行われたスタジアム。ホテルから500m。車で5分のところにあります。

    さて話題を変えて・・・。せっかくベロまで来たのにそのまま帰るのはもったいないということで ベロリゾンチ動植物園 Fundação Zoo-Botânica de Belo Horizonte に行きました。ぬいぐるみのようなオオアリクイくん。
  • 園内には水族館 Aquário de Belo Horizonte もあります。

    さてさて、また600kmの道を帰ります。往路とちがって昼間ですので、いろいろな場所に寄り道しながら帰りました。

    ガソリンスタンドに寄ったり・・。


  • 昼食は、道沿いの簡易食堂 lanchonete:ランショネッチで。

    そうそう、この店の壁には、このBR-381のルートが分かりやすく書いてありました。

    この場所はベロリゾンチから245km、サンパウロまで350kmの地点。うーん、まだ真ん中も過ぎていないのか・・・。

    とはいいつつ、渋滞なしのぶっ放しの道ですので、ドンドン進みます。すると次はチーズやさんを見つけたので入ります。

    しかも Rede de dormir:ヘージ・ジ・ドルミ-ル 、日本語でハンモック付き。車に飽きた子どもは大喜び。

    ポルトガル語で、チーズはQueijo:ケージョといいますが、ヨーロッパ文化を受け継いでいる国なので、チーズが非常に豊富な国です。


    しかもこのミナス州は酪農も盛んで乳製品の生産量も抜群に多い土地。ですのでこういった地チーズ作りの店もあるわけですね。

  • 「オレがな、今朝作ったチーズだからうまいよ」と笑顔で話すおじさん

    BR-381は1本の道ですが、場所によって道路に規格が違います。高速道路扱いになるこういう高速道路料金表が出て、料金を徴収します。この場合、普通乗用車で、 R$1.40 日本円で70円。初めは冗談かと思いましたが真面目に70円です。しかもこれで20~30kmはそのままです。

    またまたガソリンスタンドに行きました。ガソリンの値段は、日本と似たようなものです。

    今度はmorango:モランゴ・・イチゴ屋さんを見つけたので寄ります。

    うおお、ブラジルらしくないきれいなパッケージ!。 サンパウロでもイチゴは普通に売っています。ただし、タダのような値段のスイカや、手軽な値段のマンゴーに比べ、割高で準高級フルーツ、という印象です。

    店はこんな感じです。

    別のイチゴ屋さんにはイチゴジュースを作ってくれるところもありました。100%天然イチゴジュースです。そうそう、ブラジルのイチゴにはものすごい欠点があります。それは・・・甘くないのです!!いや全くと言うわけではありません。日本のおいしいイチゴと比べるとその甘さは1/5~1/10程度、つまりほとんど甘いと感じない程度、という印象があります。ですので、ジュースにするときは当然のように砂糖をバンバン入れていました。

    イチゴジュース屋のおじさんに「どこで作っているんですか?」と聞いたら「ウラだよ」というので行ってみると確かに小さな畑がありました。他にも客が来ていてミニイチゴ狩り状態でしたが。

    イチゴ祭りが開催されるらしい・・・。

    そうそうイタリア移民の方も多いので、イタリア系の食材も多数あります。これはピザにも最適なイタリア風サラミ。

    BR-381を丁寧に説明している図。まだまだ途上国、こういう説明板は非常に少なく貴重です。
  • 我がザフィーラ君。超長距離もけなげに走ってくれていました。今回の総走行距離は1225km。1泊2日の日程で、自宅発は朝3時でしたが、翌日の午後8時には帰宅できました。運転による疲労度は・・・日本の半分程度です。

ベロホリゾンテまで車で行く

    【はじめに】
    長距離ドライブが好きな自分。外国も大好きで、とにかく新しい場所、新しいものを見たくて、体験したくてウヨウヨしています。ブラジルに住んでいれば、異国の長距離ドライブに出かけたくないわけがない、ということで時間と機会があれば長距離ドライブに出かけていました。今回はサンパウロから隣の州。ミナスジェライス州の州都ベロリゾンチBelo Horizonteまで、一泊二日で1200kmを走った記録です。

    【Belo Horizonteの表記】
    今回の目的地、ベロ・ホリゾンテは、日本語の一般的な表記ではベロ・ホリゾンテと表記していたりします。確かにスペルをそのまま読むとそうなのですが、実際の呼ばれ方はベロオリゾンチ。または、ベロリゾンチが一番近いような気がしますので、ここではそう表記します。
    【この場所は】

    筆者が住んでいるサンパウロ州のとなり、ミナスジェライス州(MG:Minas Gerais)の州都で、人口約250万人。都市圏人口は500万人とも言われ、ブラジル第3、または第4の都市です。

    【往復1200km】
    サンパウロ-ベロリゾンチ間は片道約600km。往復1200km強の距離です。普通なら当然、飛行機を使う距離ですし、実際に、飛行機でも行ったこともあります。しかし、この時は自家用車で行った方が良い理由があったのです。それは・・・。

     

    【コンフェデレーションズカップ】
    そうなのです。この時、W杯の1年前に行う正式試合、コンフェデレーションズカップ(以下コンフェデ)がここベロで行われたのです。チケットを取るのも大変でしたが、宿やフライトも超高騰していて予約が非常に困難な状況でした。宿はなんとかスタジアム近辺に取れたものの、かつて高くなかったフライト代は暴騰していました。具体的にはかつては一人1万円程度だったものが安くて5万円程度に。うちは4人家族ですから、それだけで20万円に。最初はその1200kmという距離に「飛行機がいいな」と言っていた妻も、フライト代を見て、「・・・車でいきましょ」と即決。かくして、1泊2日なのに1300km近く走るドライブになりました。


    【反政府デモ】
    ブラジルは、政権や政治家の倫理や透明性は???の国ですが、その割には比較的政情が安定している国として有名でしたが、FIFAのワールドカップに向けて、今の政治はおかしい」と思う人がたくさん増えてきました。当のブラジル人達、特に世の中に精通している知識人たちからすれば、そんなことは常識であって、今までデモが起こらなかったのが不思議なほど、だそうです。

    具体的には、例えば総工費200億円のサッカースタジアム建築に向けて、実際には400億円以上つぎ込んでもまだ完成しない・・・ということが度々起こるのです。その差額はそこに関わった政治家のポケットにどんどん吸いこまれていってしまう・・・とのことです。

     ということで、ブラジルワールドカップに向け、政治家が随所に私腹を肥やしていることが発覚し政治腐敗に対して大規模なデモが国内で頻発しました。

    【デモに巻き込まれた!】

    ワールドカップの開催地およびその周辺でデモをするのが流行してしまったので、ななんと、自分たちはこの時、反政府デモに巻き込まれてしまったのです。しかも今回はスタジアムの近所に宿をとってしまったため、ホテルに帰るために、デモ隊と完全に同じ道を歩かなくてはなりませんでした。結果的に「サッカーを見に来ているらしいが、サッカー反対のデモに参加している変な日本人家族」になりました。

    でも、デモ隊といっても、結局そこは優しいブラジル人の集まりです。「大丈夫?」「なんで日本人がいるの?危ないから帰った方がいいよ」「警官に保護してもらいなよ」「こんなところにいちゃだめだよ」「パトカーまで連れて行ってあげる」・・・などなど。30分歩くだけで数えきれないほど優しい声をかけてくれました。

    その都度「大丈夫だよ。ありがと」「その先がホテルなんだ」などと返していましたが、「ワールドカップに反対」というよりもそれに関わる利権を私物化した政治家に文句を言っているだけなので、子連れ日本人ファミリーには警官はもちろん、デモ参加の人達もとても優しく接してくれました。

    一番おもしろかったのが「参加してくれたの?ありがとう!」「これから大きなデモなんだ。一緒にいく?」「明日の朝も集まるんだよ、きてね」とまるでライブに誘うような声をかけられたこと。一部暴力的な行為をしてしまう参加者はいましたが、デモ隊の多くはこんな陽気で優しい人達でした。